AGA(男性型脱毛症)の治療薬として代表的なものの一つに「プロペシア」と呼ばれるものがあります。これは旧万有製薬が2005(平成17)年に発売した内服タイプの医薬品で、2010(平成22)年にアメリカの医薬品メーカーとの事業統合でMSD社となって以降も製造・販売が続けられています。テレビCMで「飲む育毛剤」として紹介され、口コミでも評判の高いプロペシアとは、一体どのような医薬品なのでしょうか。
プロペシアの有効成分はフィナステリドと呼ばれる物質で、服用することでAGAの症状の進行を遅延させる効果があります。AGAの症状の進行は、ジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの働きが原因の一つである考えられています。ジヒドロテストステロンは、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンが5αリダクターゼと呼ばれる酵素と結合して生成されるものです。テストステロンは筋肉や骨格の増強などの作用があり、ジヒドロテストステロンは体毛の発毛や男性器の発達などの作用があります。どちらの男性ホルモンも男性がより男性らしく発達するために重要なものですが、ジヒドロテストステロンの量が多くなりすぎると薄毛の進行と性欲減退が促進されていきます。
フィナステリドが体内に取り込まれると、5αリダクターゼの働きが阻害されてテストステロンとの結合が抑制されます。これによって、ジヒドロテストステロンの生成が抑制され、AGAの症状の進行を遅らせることができます。投与による効果は早い人は3ヶ月程度で出始めます。MSD社では投与の効果が十分に確認できるまで少なくとも6ヶ月間の連日投与が必要であるとしています。
また、プロペシアを服用すると性欲減退や勃起不全、肝機能障害などの副作用があらわれることがあります。そのため、医療機関によっては血液検査により肝機能が正常であることが確認されなければプロペシアが処方されないことがあるので注意が必要です。
日本国内で製造・販売されているプロペシアは0.2mg錠と1.0mg錠の2種類です。含有量による作用の強さに違いはあまりありませんが、含有量が少ないほうがより副作用発現のリスクが少ないです。値段は1錠あたり250~350円で、1ヶ月分(28錠)だと7,000~10,000円程度になります。なお様々なAGA薬に関しては、こちらのページでより詳しく解説しているので参考にしてください。
プロペシアは上記のような働きから5α還元酵素阻害薬と分類されており、効果を実感するには長期間、断続的に服用することが必要となります。自己判断で服用を中断すると、再びAGAの症状が進行しだす可能性が大きいので、1日1回1錠の用法・用量は必ず守りましょう。